狼執事とお嬢様♡~ある日の狼~
男はまるでその言葉を待っていたかのようにニッと哂って言った。
「知ってるかい?
君の家、今借金取りがもうすぐ取り押さえに来る。
君の母親、随分と無理をしたんだろうね…?」
は…?
家を、借金取りが??
『なんの冗談だ…。』
「冗談なものか…。
お母さんがいない今、君は無力。無知。
どうやってこれから学問を修めていく?
無理だろう?
そこで、私が力添えしようと思ってね…?」
俺は、この男の言葉を信じた…。
母さんが亡くなった今…
俺は…この言葉にすがるしかなかったんだ…
どれだけ、嫌でも、苦しくても…
生きる術は、それだけだった…
「学費もすべてこちらが負担しよう。
生活費もだ。
止まる場所も用意しよう。
生活に不便は感じさせないよう努力する。
代わりの担保は、君自身だがね…?
君が十分に仕事を果たせるようになり、こちら側に金が余分に入ったとき…
そのとき、君に自由を与えよう…。
その後の人生は、君で決めるといい…。」