ただ あなただけ・・・

涼子の代わりに男が抱き止めていた。突然の事に倒れ込んだ本人も驚いているらしく、目をパチパチさせている。


「――すみません!ほらっ妃奈も謝りなさいっ」


涼子は慌てて妃奈を男から受け取ろうとしたが、二人共離れようとしない。

むしろ、男が妃奈を抱きしめているようだった。


「あれ・・・・?みんな何してんの?」


どこからともなく、素っ頓狂な声が聞こえた。
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