ただ あなただけ・・・
妃奈は気づいたら、やわらかいベッドにいた。見覚えのない部屋に。
――頭・・・・痛い・・・・きもち悪い・・―――
少し体を動かすだけで、気分が悪い。あれだけ一人で飲めば、気分も最悪なはずだ。
――とりあえず・・・ここ・・どこ・・・?―――
周りを見渡せば、今まで見たことが無いような広く、豪華な部屋だった。どれも高級品らしく、たまにテレビで見るような、スィートルーム・・・・・
「――えっ?!・・・・うぅ・・・」
突然飛び起きたので頭がぐらぐらする。しかし、それよりも今自分が居る所が理解できない。
――えっと・・・お姉ちゃんと亮兄と飲んでて・・・私がやけ酒して・・帰ろうとして・・・・・・男の人に・・・――――
妃奈は慌てて布団をめくった。大丈夫、服は着ている。何ともなかった。
――あの人・・だよね・・・?私を連れて来たの・・・・――
あまり、いや、何も思い出せない。姉達と別れた後の事を。実を言うと、男の顔もぼんやりとしか覚えてない。
だんだん冷静になってきた。耳を澄ませば、シャワーの音がする。ドクン、と胸がなる。