ただ あなただけ・・・
「あぁ・・・もう溶けたのか・・・」
私はハンカチを取り出し、手を拭こうとしたら、彼がペロッとアイスを舐めた。
「甘いな・・・・」
顔を少し歪ませると、私の口元にアイスをやる。
――食べろって事かな・・・?やっぱり甘いの苦手なんだ・・・――
思わずクスリと笑ってしまった。
「妃奈、食べないのか?」
「・・・食べます」
アイスを受け取ろうとした時・・・何処からか聞き覚えのある声が聞こえる。
手が止まり、辺りを見渡す私に隼人さんは不思議そうな顔をしている。
「――そろそろ行きません?」
ベンチから立ち上がり、隼人さんの手を引く。
――やだ・・・なんでここに居るの?―――