ただ あなただけ・・・

「悪い・・・今度こそ困られたな・・・」


クシャクシャっと頭をなでられた。


「・・・教えて下さい・・・もっと・・・」


ぽつりと私は呟いた。


「・・・妃奈?」


「あなたの事、知りたいです。好きなもの、嫌いなもの。何でもいい。あの人を忘れさせて・・・――」


もういい・・・誰でも構わない・・・私からあの人を消してくれるなら・・・


「・・・・・忘れさせるだけ?」


つ・・・ッ・・・・隼人さんの指が私の頬をなぞる。驚いて顔を上げた瞬間、店の壁に背中が当たった。
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