結婚事情
「別にあやまんなくていいよ。ほんと、部外者からしたら、『ふぅん』としか言いようがないもんね。それに、下手な慰めされても、余計落ち込むし。」

タツヤの切り替えしに安堵する。

営業の仕事してるだけあって、相手の機嫌を損ねずに会話をうまくフォローするのが身についてるんだろうね。

そういうタツヤがちょっぴり切なかった。

「実はさ。」

タツヤの横顔を見つめながら言った。

「私もさっき失恋したんだ。」

タツヤは飲みかけていたお酒を少し吹き出した。

そして、私の方を見て驚いた顔をして言った。

「まじで?」

「うん、まじで。」

「それ笑えるな。」

「・・・。」

「笑えない、か。」

笑えない。

少なくとも今の状態では。

タツヤは私の代わりに深いため息をついた。

< 11 / 215 >

この作品をシェア

pagetop