結婚事情
月曜日からまた普段通りの生活が始まった。

違うのは、ナオを知ってしまった私の体と気持ちだけ。

相変わらず、アユミとは視線を合わせられずにいた。

横を通り過ぎたアユミの背中を見つめながら、

もう少し、

もう少しだけ待っていてね・・・と心の中でつぶやいた。


木曜日の夕方。

『着信あり』

会社のパソコンを開いているとメール受信通知が表示された。

なんとなく、あいつからのような気がしてすぐにメールボックスを開いてみる。

やっぱりだった。

『今帰ってきたぞ。上海ってすげー刺激的な場所だった。お土産は期待しとくように!ではまた明日』

タツヤのメールの文字は躍り出すんじゃないかというくらい、興奮していた。

なんだか子供っぽくて笑える。

ばかだねぇ。

やつは。

メールを読みながら思わず顔がほころんだ。

そして返信を打つ。

『おかえりー!元気そうで何より。明日、お土産期待してるわ。』

送信・・・と。

そして、私は画面を切り替え、やりかけの仕事に向かった。
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