結婚事情
そして金曜日。

タツヤと食事に出かける日がやってきた。

どうなるんだろう。

私の気持ち。

今日は真っ白な気持ちでタツヤと会おう。

ナオのためにも・・・。


タツヤの要望で会社の玄関ホールでの待ち合わせ。

絶対誰かに見られるってのに。

でも、これだけこそこそしてなきゃ、逆に怪しまれなかったりして?!

更衣室で口紅を塗り直した。

ロッカーを閉めた時、誰かが更衣室に入ってきた。

顔を上げると、アユミだった。

思わず、心臓が大きく揺れた。

「おつかれさま。」

できるだけ普通に声をかけた。

アユミは少しだけ口元をゆるめて、私にぺこりと頭を下げた。

そのまま、私の横を通り過ぎて自分のロッカーへ向かっていく。

なんだか、どうしようもなく切なくて涙が出そうになった。

こんなことになったのも、私がはっきりしないからだもんね。

更衣室を出ようとした時、ふいにアユミが私の名前を呼んだ。

「え?」

思わず聞き返す。
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