結婚事情
「ねーさんって、何年付き合ってたんだっけ。」

「7年。」

「7年?!」

「そうよ。悪い?」

「よくもまぁ、ねーさんみたいな女性と7年も付き合えたもんだわ。」

「どういう意味よ!」

タツヤが半分冗談で言ってるってわかってるのに、少しむきになった。

「あ、ごめん。」

「別に。」

「っていうか、理由は何?いや、教えたくなかったらいいんだけどさ。」

「うん。」

すぐには答えられない自分がいた。

なんだか他の女にとられたなんて、かっこ悪い。

しかも後輩にそういうこと知られるのが。

この期に及んで、ささやかな自分のプライドが頭をもたげた。

「俺はさ、彼女に他に好きな男ができたとかでふられた。」

タツヤは笑って言った。

「そ、そうなんだ。」

同じじゃん。

心の中でつぶやく。

「一応、俺も付き合って5年目だしさ。そろそろけじめつけようかって時にだぜ。一瞬で俺の人生プランが崩れ去ったわけ。こういうふられ方って、想像以上にショックだった。」

まさに、私の気持ちを代弁してくれたかのようだった。

「だけど、タツヤはまだ若いじゃない。これから色んな出会いもあるし、人生だって変えられるわ。」

素直に出てきた言葉だった。
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