結婚事情
マッコリで乾杯して、たわいもない話で笑った。

タツヤの初海外出張の話。

上海の食事は想像以上にいけてたらしい。

中国語は適当だったけど、ジェスチャー交えれば、何でも通じたとか。

はは、タツヤらしいよね。

子供のように興奮して、上海の出来事を話してくれた。

なんていうか。

普段通りのタツヤにホッとした。

「でさ、これお土産。」

鞄の中から小さな包みをとりだした。

かすかに中国の香りがする。

開けると、色とりどりの紐が絡んだ飾りだった。

「これさ、お守りになるんだってさ。ねーさんに降りかかる色んな悪いことをこいつが吸い取ってくれるらしいよ。これで、この先も安泰でしょ。」

「ふふ、ありがとね。」

この飾りのセンスはともかく、タツヤの気持ちが嬉しかった。

そろそろ本題に入ろうかと思った時。

「で、ねーさんは結婚に向けて順調?」

切り出したのはタツヤだった。

突然の切り出し方に、しばし言葉を失う。

タツヤは静かにマッコリを口に含んでいた。
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