結婚事情
タツヤはふっと笑った。

「ねーさんはそんなことするはずないもんな。冗談でしょ?ごめんごめん、そんなマジな顔しないでよ。」

そして、タツヤは店員さんにマッコリのおかわりを二つ頼んだ。

なみなみとつがれたマッコリを目の前に、しばらく二人は黙っていた。

そして、タツヤは静かに言った。

「迷う相手なら結婚しなきゃいいんじゃない?」


それは、とても当たり前のことだった。

そう。

迷ってるくらいなら結婚なんかやめればいい。

ただ、そんな単純な動機ですぐに決定できるほど、私は若くはなかった。

ナオは、私をとても大切にしてくれる。

結婚するには、本当に申し分のない男性だった。

私の気持ちがナオに惹かれているのも事実。

だけど、私の心のどこかに、タツヤがいつも存在していた。

ナオとは全く正反対のタイプのタツヤを。

どうして、そんなに気になるのか、自分自身でもよくわからない。

だからこそ、タツヤを知りたいと思った。

そうじゃないと、ナオにも示しがつかないって思ったから。

今、私はタツヤに何が言えるんだろう。


「結婚って、簡単に答えが出ないものなのよ。たぶん。」

「現にねーさんは迷ってるんだろ?迷ったまま結婚もありってこと?」

タツヤは珍しく、少し声を荒げた。

「その迷いを払拭するために、今日はタツヤを誘ったのよ。」

「え?」

タツヤは目を見開いた。






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