結婚事情
翌日。

結局タツヤに会って何を話すかまとまらないまま家を出た。

なんとなく早く目が覚めたので、いつもより2本早い電車に乗った。

ふぅ。

2本も早いと、結構空いてるもんなのね。

思わず目の前にあったシートに腰を下ろした。

携帯を広げる。

別に意味はないんだけど、電車に乗ると携帯を広げるっていうのが習慣になっちゃってる。

一通のメールが来てるのに気づいた。

開くとタツヤからだった。

タツヤの名前を確認した途端、鼓動が激しくなる。

『ねーさん、色々心配してくれてたみたいでごめん。俺、明日で退職するわ。今までありがとう。お元気で。』




・・・。



電車は鈍いブレーキ音をたてて停車した。


これだけ?

たった、これだけで終わり?

お元気で・・・って。

なんだかばっさり切られた感じ。

思わず胸が締め付けられるような痛みが走った。

それは、

それはいくらなんでもあんまりでしょう?
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