結婚事情
今まで張っていた緊張の糸がブチンと断ち切られたようだった。

どうして?

こないだは、一応、私のこと好きだみたいなこと言ってたじゃない。

その相手に、たったこれだけ・・・・って?!

メールの内容を読み返すたびに、タツヤに声をかける気持ちが萎えていく。

結局、タツヤにとって私っていう存在はその程度だったのかもしれない。

私が、いくら何かを言ったとしても、タツヤの心に大してひびかないとしたら?

言っても無駄・・・。


気づいたら、降りる駅に到着していた。

重たい足を引きずるようにホームに降り立った。

私は今何のために早く出社しようとしてるんだろう。

ばかみたい。

自分自身、何を浮かれてたんだろ。

思い上がりも甚だしいよね。

情けなくて、目の奥が熱くなる。

朝っぱらから泣いてるなんて格好悪い、悪すぎるって。

思いきり堅く目をつむって、気合いで涙をシャットアウトする。


更衣室で着替えて、職場に向かった。

タツヤの所属する部署の前を通る。

人気まばらなフロアに、タツヤは座っていた。

< 169 / 215 >

この作品をシェア

pagetop