結婚事情
こういう感覚、なんだか久しぶり。

恋の始まりにとても似ている。

いやいや。

タツヤは単なる飲み仲間であり、職場の後輩なわけで。

しかもお互い今日ふられたばっかなわけで。

恋が生まれるなんてこと、到底ない・・・

ってこともないシチュエーションか。

タクシーに揺られながら、一人そんなことを考えていた。

ちらりと横を見ると、タツヤは寝ていた。

目をつむって、とても穏やかな顔で。


かわいい。


かわいいなんて年でもないんだけどね。


ガタン。

タクシーが曲がり角で大きく揺れた。

その拍子に、タツヤの体が私の方に傾いた。


うわ。

タツヤの頭が私の肩にもたれてるって!

う、動けない。

押し返すわけにもいかないし。

タツヤは思いっきり寝息たててる。

安心して寝過ぎだっての!
< 17 / 215 >

この作品をシェア

pagetop