結婚事情
そんな頑固な気持ちが私をその場から動けなくさせていた。

「じゃ、時間できたら教えて。」

今のタツヤの立場を考えたら、そんなこと言えるはずもないのに。

でも、言っていた。

このまま。

このまま終わりなんて、絶対いや。

タツヤはぼんやりと私の顔を見上げた。

そして、苦笑しながら、短く息を吐いた。

「何時になるかわかんないっすよ。」

「いいよ。何時でも。」

「またメールします。待てない時間だったら、遠慮なく帰ってて。」

タツヤはそう言うと、またパソコンに目をやった。

私はうなずいて、その場を離れた。


ごめんね。

タツヤ。


そこまでタツヤに覆い被さって、何を話そうとしてるの?

未だ何を話すのかすら決まっていないのに。

ただ、私は何時まででも今日はタツヤからのメールを待つ覚悟だけはできていた。


今日で最後かもしれない・・・

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