結婚事情
「どうするって?」

「水口さんとは?」

思わず口をつぐむ。

「まだ気持ちがはっきりしない?」

はっきりしない?

「あれだけハルナがなりふり構わず心配している相手って今まで見たことなかったから、私はてっきり、もうタツヤに決まってるのかって思って・・・。」

なりふり構わず・・・

「水口さんって素敵な人だもんね。正直私だったら、今のタツヤより水口さん選ぶかなぁ。」

アユミはあえて冗談っぽく笑った。

「あのさ、もしタツヤのこと私に気兼ねしてたら悪いなって思ったから今日はお昼誘ったんだけど、私、今ユウタと付き合ってるんだ。」

やっぱり。

「私もそうかなーって思ってたんだ。よかったじゃん。」

ようやく言葉が出てきた。

「別にタツヤとハルナの一件があったから、とかっていうんじゃなくって、なんていうか、すごくタイミングよくユウタと一緒に飲む機会があってさ。お互いに意気投合しちゃって。」

アユミは少し頬を染めて首をすくめた。

タイミング・・・か。

「ユウタが、ハルナってタツヤに惚れてるの?ってしつこく聞いてくるもんだから、私もいつも言葉につまっちゃうの。」

「え?なんで??」

「なんでって・・・本屋で会ったとき、タツヤのことものすごい勢いで心配してたじゃん。誰が見たってそう思うよ。」

「そんなにすごかったっけ?」

「ん、すごかったって。」

アユミは優しく笑った。
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