結婚事情
「今、どこにいると思う?」

一呼吸置いてから言ってみた。

「え?自宅、じゃないの?」

「へへ、実は、今タツヤの実家の近くに来てるんだ。」

「・・・まじで?」

タツヤの返答が意外にも明るい声だったことにホッとした。

ここに来てること、嫌じゃなかったのかな・・・?

「どうして、こんなとこまで来たのさ?」

タツヤは半分呆気にとられているようだった。

「タツヤのことが気になって。あと、伝えたいことがあったから。」

「わざわざ?」

「そう、わざわざ。」

「相変わらずだね。」

「何が相変わらずよ。」

久しぶりのやりとりに、気持ちが少しずつほぐれていく。

「で、具体的に今どこにいるの?」

「タツヤの最寄りの駅前の公園。」

「へー・・・ぶったまげたな。」

タツヤは独り言のようにつぶやいた。

「俺、今起きたとこだからすぐ用意してそっち向かうよ。少し待ってて。」

「うん。」

そして携帯は切れた。


もうすぐ、タツヤがやってくる。

どうなっちゃうんだろ。

私は、しっかり気持ちを伝えられるんだろうか?



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