結婚事情
水口さんと並んで歩く。

水口さんの肩は私のちょうどおでこあたり。

なんだかそれくらいの大きな体が自分の横にあるって、すごい安心感があるものなのね。

そこにいるだけで守ってもらえてるみたいな感じ。

ノボルはもう少し背が低かったっけ。

タツヤは、水口さんと同じくらいか・・・いやいや、あいつは別にどうでもいい。

心の中で首を何度も横に振った。


アユミ・・・。

今頃、タツヤとどっかの居酒屋で飲んでるんだろうな。

二人でどんな話するんだろ。

タツヤは私に話したみたいに、自分が振られた話とかして、また同情さそって、酔わせて、タクシーで抱きついたりしちゃうんだろうか。


いやいや、何心配してるんだ?

っていうか、アユミが心配だわ。

少しでもタツヤに気持ちがあるんだったら、タクシーで抱きつかれたら、そりゃ絶対自分に気があるって思っちゃう。

って、思っちゃ悪いっけ?


やめとこ。

もう二人のこと考えるの。

どんなことがあっても、二人に任すしかない。


私は。

今は水口さんとデート中なんだから。

そっちに集中!


「つきましたよ。」

穏やかな水口さんの声が聞こえた。

顔を上げると、いかにも!って感じの暖簾がかかった超和風料亭の入り口があった。
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