結婚事情
そのとき、また携帯が鳴った。

アユミからだった。

「あ、アユミ?」

「ちょっとちょっと、ハルナ、どうしたってのよ。今日お休みだったんだって?」

「うん、昨日から高熱でちゃって。ようやく今日は微熱でおさまったって感じ。」

「大丈夫?」

「大丈夫よ。それより、タツヤとの話はどうなったの?」

「え?ああうん。」

アユミの声が沈んだ。

やっぱり?

一呼吸置いたあと、アユミは小さな声で言った。

「無理みたい。」

昨日のタツヤの声が私の脳裏をかすめた。

「そう・・・。タツヤに何か言われた?」

「ダブルデートみたいなのは嫌いだって。」

アユミはそう言うと、無理に笑った。

その笑い声に胸が痛んだ。

「そうなんだ。もうどうお願いしても無理そう?」

「そうだね。タツヤもあれで結構頑固だし。無理じゃないかな。」

「そっか・・・。」

二人の間にしばしの沈黙が流れた。

そして、ふいにアユミは切り出した。

「っていうか、ハルナはその話、すでにタツヤから聞いてたんじゃないの?」

「え?」

急激に血の気がひいていく。

ど、どういうこと??!
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