結婚事情
私の頭の中はパニックだった。

どういうこと?!

どういう言葉をつなげばいいのかわからなくて、思わず口をつぐんだまま数秒が経過した。

「実はさ、昨晩タツヤに電話して聞いたんだよね。」

な、何を?

「タツヤ、ハルナを病院まで連れていったんだって?」

「あ・・・。」

タツヤはどういう風にアユミに話したんだろう。

まさか、ありのまま話したなんてことはないよね?

「駅前で偶然タツヤに会ったんだって?」


そのアユミの言葉で、血の気のひいた顔が元に戻っていくのがわかった。

やっぱり。

全部話してないんだ。

わざわざ、私に話があるって会いにきたなんてことは、いくらタツヤでも言わなかったんだね。

「う、うん。そうなんだ。」

「病院につきそってた時に、ハルナには断ったって言ってた。」

「うん。」

そして、しばしの沈黙。

ドキドキする。

胸が苦しい。

「どうして、ハルナはそのことだまってたの?」
< 87 / 215 >

この作品をシェア

pagetop