この美しき世界で
「まぁ人間界の空気は魔族にはちとキツイ。またしばらくは来れないでしょうが。」


こんなにも実力の差が。魔族との間に高い壁が。


「手土産にこの町くらい滅ぼしてみましょうかね。」


一瞬、笑みを消し爆発的に高まった魔族の殺気。セロの体は石のように硬直した。


━これが…上位魔族…!


「おや。どうしました?もう終わりですか?では今度は。」


魔族が掌を前に。セロの顔面に向ける。


「こちらの番ですかね。」


━まずっ…!?


「おらぁっ!」


かざした手を引っ込めながら魔族はまた嬉しいそうに微笑む。


二人の間を引き裂いたのは銀色のハルバート。それは赤の戦士の得物。


「ボケっとすんなよセロちゃん!おい魔族野郎!俺も加勢させてもらうぜ!」


ハルバートを魔族に向けナツは叫ぶ。セロだけで敵わぬなら自分もと。


圧倒的な実力差を省みず彼は魔族とセロの間に立ち塞がった。


「おやおや。また活きが良い。貴方も私を楽しませてくれるんですか。」


満面の笑み。魔族は本当に嬉しそうに手を叩き鳴らす。


「ナツ…!」

「卑怯だなんだは抜きだぜセロちゃん…!」


< 17 / 67 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop