この美しき世界で
「一人で駄目なら二人だ!こいつを町へ行かせるわけにゃいかねぇ!」

「此処で確実に仕留めるぞ!」


わかる。ナツが今恐怖していることも。自らを奮い起たせていることも。


だがそこには町を守る。守らなければならないという明確で強い意思。


セロは改めてナツを頼もしく思った。


「そうだな…。このままじゃ親父達に笑われちまう。」

「行こうぜナツ。やってやろう。」


ソードを構え直し硬直していた体に喝を入れる。二人ならば。


二人ならば勝てるかもしれない。


「さぁもう少し遊びましょうか戦士さん達。」


この魔族に負けられない理由がある。


「おらぁっ!」

「しぃっ!」


ナツがハルバートで崩し、セロがソードでその隙をつく。


流れるような連携。幼なじみだから、お互いがお互いの戦い方を理解しているからこそか。


不思議なほどにその連携は噛み合い、体が動く。


「ほぉ…!面白い!さっきよりも格段にキレが出てきている!」


魔族はやはりふわりとした動きで攻撃をかわしながらやや興奮気味に笑う。


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