この美しき世界で
「人間は面白い!魔族には無い!これが人間か!」


セロの一撃が頬をかすめる。それでも魔族は笑う。楽しげに嬉しげに。


当たる。倒せる。ナツの縦横無尽の槍さばきが相手を翻弄してくれている。徐々に差がつまってきている。

少しずつセロが、ナツが、タキシードを引き裂き魔族に傷を刻んでいく。


戦士達にも活気が戻っていた。歓声があがり、皆二人の挙動に視線を注ぐ。


希望の光が、皆を包みこんでいた。


「むっ!」


そして遂にセロの一撃が魔族を捉える。ハルバートをかわして出来た一瞬の隙。


そこをセロは逃さなかった。


緑色の液体が肩から滴り落ちる。セロの鋭い突きがそこを貫いていた。


「ぐおっ…!」


初めて魔族の表情が苦痛に歪む。これはチャンス。畳みかけるなら今。


ナツもセロもそれをわかっていた。


「ナ―――――ツ!」

「応っっっっっ!」


ソードに絡めとられ、動きの止まった魔族。心臓。魔族の胸の中心にハルバートが深々と突き刺さった。


「が……は……。」


それを引き抜くと魔族はゆっくりと仰向けに倒れていった。


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