この美しき世界で
一斉にゲルニカに向けて走り出す戦士達。何人がかりでも構わない。何人倒れようとも構わない。


必ずここで仕留めねばならない。必ず仇を討たねばならない。


この後ろは家族が待つ町なのだ。セロもナツも共に歩いてきた仲間なのだ。


「はははっ!貴方達には踊ってもらいましょうか。」


魔人は笑った。高らかに。そして愉快だと示すかのように。


腕を振り上げるとまるでオーケストラの指揮者のよう。魔力が炎の如く空を走る。


炎に同調するかのように戦士達が走る大地から地獄の戦士が再び蘇る。


「ガァァァァァァ!!」


先程とは比べものにならない。気性はより凶暴に。姿はより凶悪に。


大地を怒号で震わせる。


「こいつらっ…!」

「倒したはずじゃ!」


白い戦士達の勢いが削がれる。足が止まる。だが地獄の戦士は止まらない。


骨の刃を振りかざし、躊躇なく突き立てる。口を大きく開き、鋭い牙で噛み砕く。


白が赤に、大地が血に染められていく。それは地獄絵図のように。


「人形も少し手を加えてみれば中々に役立つ。」

「指揮者のいる合奏は、美しいでしょう?」


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