この美しき世界で
戦士達は必死に抵抗した。腕を失おうとも、足を失おうとも。


仲間が散りゆき、その赤が我が身を濡らしても。命を失わない限り、戦い続けた。


勇敢だった。


「嗚呼。貴方たちは美しい。貴方たちは素晴らしい。」


ゲルニカは惚れ惚れとした様子で手を叩いた。


後方から滲み出る殺意を感じとりながら。


「魔人…ゲルニカ…!」

「おや。黒い戦士様。無理をして動くと死んでしまいますよ。」


にこやかに振り向いた魔人。ミスリル製のソードを構えるセロ。


自分が倒れている訳にはいかない。戦士達が、仲間が戦っている。


俺も戦おう。手足を、光を失おうとも。最後まで戦い続けよう。


「来い…。魔人…!」


命を燃やすかのようだ。本来なら立っていることも辛いはず。


魔人は次々と溢れる嬉しさを堪えることが出来ない。


「その目、とても素敵ですよ。私を怨み、私の為に強くなりなさい。」

「そして私に殺されなさい。」

「セロに手を出すんじゃねぇっ!」


狂人じみた理論を展開する魔人に乱戦を抜け出た白い戦士が斬りかかる。


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