この美しき世界で

オークの群れが『リフス』周辺に到達するであろう時刻までおよそで半日の猶予があるらしい。


町長の話が終わると冒険者たちによる戦略会議が始まった。各々がそれぞれ得意とする位置を言い合い陣形を練っていく。


とはいっても急造の編成だ。考え得ることも限られていた。


近接戦闘を得意とする者は前衛。魔法、回復、補助を専門とする者は後衛。弓使いや両方を扱える者はその間に。


他に戦闘不能に陥った者への対応や仮に陣を突破された時の対応など。


最低限、必要なことだけを決めていった。本来ならば普段から訓練を積んだ兵士がやるようなことをこな急造チームでやらねばならないのだからある程度は仕方ないだろう。


意外にもその戦略会議の中心になったのは一人の女性だった。


黒く艶やかで真っ直ぐに伸びた長い髪に魔導士独特のローブを着込んだ彼女はテキパキとした様子で冒険者たちをまとめあげていく。


はっきりとした勝気な性格なのだろう。有無を言わさぬ彼女の態度に戸惑いながらも周りは従ってしまった。


勿論その指示が非常に的確なものだったからなのだが。