この美しき世界で
話はまとまった。後は奴らを待つだけだ。待っている時間がやたらと長く感じるのは漂う緊張感のせいだろうか。


「皆様。どうぞ召し上がってください。」


その緊張をほぐしてくれたのは町長だった。最近では見慣れた『リフス』の住民と共に飯を運んできてくれたらしい。


どうも姿を見ないと思ったらそういうことだったのか。そういえば今日は今朝から何も食べていなかったな。


「いただきます。」

彼らはそう丁寧に礼をのべると次々とそれを口に運んでいく。


どうやらみんな同じように腹を空かせていたらしい。飯を食えるぐらいの緊張感なら逆に調度良いのかもしれない。


空腹を満たす意味でも、緊張をほぐす意味でも、町長の気遣いはありがたかった。


「貴方達。覚悟と準備はいいかしら?」


彼女が再び口を開いたのは皆が飯を食べ終わってからのことだった。


「もう時間も近くなってきたわ。各自役割と装備をしっかり確認して。」

「魔法を使う人は今から魔力を練っておきましょう。前衛は体を温めておいて。すぐに動けないじゃ話にならないわよ。」


再び緊張が高まる。こういう共同任務で仕切り役がいるのは助かる。


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