じかん
「ほら、紗雪、起きなさい」
「……ん…」
「下、降りてきなさいね」
ふわ、とお母さんが入ってきたドアからコーヒーのいい匂いがする。
その匂いと、カーテンの隙間から入ってくる日の光にだんだん目が覚めてくる。
んー、と伸びをして1つ欠伸をした。
それからのろのろと部屋を出て、リビングに向かう。
リビングではお父さんが座って朝食を食べていた。
「お父さん、おはよう」
「おはよう」
「紗雪、早く食べちゃいなさい。遅刻するわよ」
「ん」
お母さんはそう言いながらコト、と湯気の立っているチョコラテをテーブルの上においた。
お父さんとお母さんみたいにかっこよくコーヒーを飲めればいいんだけれど、私には少しコーヒーが苦い。
だから、お母さんはチョコラテを私に作ってくれる。
「紗雪、勉強頑張るんだぞ。じゃ、そろそろ行ってくる」
「いってらっしゃい」
会社に行くお父さんの背中を見届けて、朝食を食べはじめる。