44°目線の王道
「本当にリアリストだよね。
香ちゃんの言葉がもし飲物だったら綾鷹でなくvolvicを飲まされた気分だよ。」

おどけて両手をお手上げポーズをとりやれやれと肩をすくめるものの

あんたもそれを望んでたんでしょ。
それに例えわかりにくいわ。

と言う香に頭を叩かれ

それはそうなんだけどー
と間の抜けた返事をかえし、拗ねる緒都に香は苦笑しながら旋毛にそって掌で髪をかき混ぜる。

「でも、うちにはそんな御伽噺から飛び出した王子様がいるよね。」

(王子様ねぇ……)

我がクラスにはそれはそれは麗しい王子様がいる。
頭脳明晰 容姿端麗 のうえにセレブリティ

最早、二次元から飛び出たような完璧さに逆に寒気がする。

「これで性格腹黒いならなぁ…」

「あら。
それはそれで王道的展開じゃない。」

頬杖をついてポツリと非難めいた言葉を吐いても
髪をかき混ぜる友人の王道発言に更に口を尖らすだけだった。
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