SOUND・BOND
「俺たちはプロを目指しているんだ。中で演奏できなくなるのは困るじゃないか」
タキの真剣な言葉を卓真は軽快に笑い飛ばした。
「何言ってんだ?そんなの無理に決まってるだろ。俺と翔はもう7年バンドやってんだぞ?それでもスカウトされるどころかコンテストすら一次で落ちてんだ。プロを目指してる奴がどんだけいると思ってる?夢見んのもそろそろ終わりにしたらどうだ」
では、今まで一緒にプレイしてきたのは全て遊びだったということか?プロになるために薫季たちを誘ったのもその延長線だったのか……。
今まで本気でやってきて突然こんな事実を知り、ショックを受けないはずがない。薫季は開いた口が塞がらず、硬直している。それは他のメンバーも同じだった。
「本気か……?」
「こんなこと冗談で言ってどうすんだよ。まったくお笑いだな」
嫌に卓真の笑い声が耳に響く。本気かと訊ねた自分が愚(オロ)かだったと薫季は後悔した。