SOUND・BOND

陸燈の僅かに棘のある言い方に、口を出したのは……


「陸燈お兄ちゃん!もっと優しく!この人たち悪い人じゃないよ?」
 

真空だったことに陸燈は目を丸くした。
 
それでも直ぐに眉を寄せると、服を引っ張る真空に頷いた。


「分かってるよ。でも、雨がひどくなってきたから」
 

早く帰らなくては。しかし、これは半分言い訳。
 
今まで他人との付き合いを避けてきた陸燈には、素っ気無く対応してしまう性格はすぐに直るものではない。


「ああ、この雨ね。さっき来る時東の空は晴れてたから、通り雨だと思うぜ」
 

と秋司が空を指して言う。


「うんうん!その辺で雨宿りすれば問題ないよ」
 

無邪気に光が続ける。
 
雨宿り……。
 
陸燈は渋った。
 
彼らは陸燈の心情など知らず、その上冷たい反応にも臆することなく接してくる。
 
これまでの連中は初対面だったとき、陸燈の反応にかなり頭にきていたように思う。それが段々慣れてくると、これが陸燈なのだと認識して気にしなくなる。
 
それが普通。
 
それが当たり前。
 
なのに彼らは――


「雨宿りするんなら、そこのファミレスだね。この時間帯ならそんなに人もいないだろうし」


と光が提案する。さすがは地元出身者。この辺りのことは知り尽くしているようだ。


「どう?君たちも」
 

誘ってくる薫季の鋭いはずの目が、優しさに溢れて全くそう感じられなくなる。
 
今まで会ったやつらとは、明らかに何かが違った。


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