SOUND・BOND
飽きもせずに溜め息をつくと、
「それ、止めた方がいいな」
と、上から降ってきてビックリする。
「なに……?」
「溜め息だよ。昔AKIに言われたんだ。溜め息つくと幸せ逃げるぞって」
話の趣旨を変えて、現実から離れた台詞を言う薫季に、少々面食らって言葉が出ない。少しきつめに整った顔立ちの彼が言うと、尚、リアリティーからとんだように思う。
「お~い。そこで仲良く歩いてないでぇ、早く来いよ~!」
数メートル離れたファミレスの入り口で、光がぶんぶん手を振っている。
そのすぐ側にいる真空よりも子どもっぽく見えてしまっていることは、とりあえず口には出さないでおく。それはなんとなく、彼のイメージにはまっているからおかしく感じなかったためかもしれない。
それよりも、仲良くという台詞の方が陸燈には気に障(サワ)って眉を寄せた。
「急げだってさ。このままじゃずぶ濡れになる」
さすがは仲間。
薫季は慣れた様子で軽く手を振り返している。
「いつもこんななのか?」
「……まあね」
薫季は何かを考えた後、苦笑交じりに頷いた。
彼は、こんな癖のある仲間といつも一緒にいる。きっと気苦労するところもあるのだろう。