SOUND・BOND
3-Ⅳ
今後の打ち合わせが済んだころにはすっかり星が見えるまでに空はすっきりしていた。
雨の匂いがアスファルトに立ち籠め、そこから風に煽られて辺りへ冷気を散らす。
時間は日付が替わり1時近くになっていた。さっきから真空の口からは眠い眠いと繰り返されている。
「真空ちゃんごめんな?遅くまでつき合わせて」
秋司の優しい謝罪に真空は首を横に振るが、目を擦りながらのそれは少し遠慮がちではあった。
軽く手を上げて「う~ん」と伸びをしながら会計を済ませた光が最後に出てくる。
「うっわ。さっみ~。東京でも雨降ると気温全然違うよねえ」
上げていた腕を素早く縮めて光はぼやく。
そんな彼に各々が「ごちそうさま」と告げると光は苦笑いしながらひらひらと手を振った。
「いいって今日は。それより肝心なこと忘れてない?」
「もしかして、バンド名のことか?」
これも読心術よろしく、秋司が言い当てた。
「それならもう考えてある。と言うよりさっき思いついたんだけどな」
みんなの視線を集めて秋司は空へ指を向けた。
「ジュビア(lluvia)」
「…じゅ、じゅびあ?」
横文字が苦手なのか、光は眉を寄せた。
(雨か……)
陸燈は納得しかけてうなった。