SOUND・BOND

真っ赤、というより茜色に近いだろうか。その赤より濃い色の茜色の髪は、左右からオレンジ色のライトで照らされるルソワールのあの看板の下をくぐった時も、地毛であるから尚艶のある輝きを放っていた。


狭い階段を下りていくと、ひとつの扉の向こうからノリのいい電子音が軽快に扉を突き破ってくる。外まで聞こえてこなかったのは一階が半分地下へ沈んだ造りになっていたからだ。

ビンビン響くその音は陸燈の心を刺激する。

店内はそれほど広くはなく、入って右側にカウンター、室内の半分にまるテーブルが7つ程置かれた全くと言っていいほどシンプルな風景だ。

一番のメインは奥の、少し床が高くなっているステージ。そこを目立たせるためにまるテーブルのある客席は薄暗く、逆にステージはライトアップされていて、そこに置かれたドラムセットはきらきら輝き存在感を盛り立てていた。

一見、穴倉のようなここは、演奏を楽しむ者たちが集うバンドハウスという夜の楽園だ。

彼がルソワールを訪れるのはこれが初めてというわけではない。ここはいつ来ても賑やかで、暇を潰しに来ている大人たちの他に学生の出入りも激しい。特に学生は試験が終わってからが多い。勉強のストレス解消に演奏しに来ていると思われるが、中にはそんなもの関係なしに楽しむバンドもいる。

そう、大体がバンドを組みグループで活動しているのだ。ソロというのはまれで、それなりに実力がなければやってはいけない。そのため腕やルックスがいいと大体がバンドに誘われ流れていく。どんなに上手くても、個人は限界があると思い了承するのだ。

だが――どんな誘いにも流されない、我道を行くタイプも極まれにいる。



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