SOUND・BOND

やはり、教室に入ってからの視線が強さを増したが、今思えばそれほど嫌な感じではなかったように思う。

ただ神経質になり過ぎていたのだろうと、陸燈は多少なりとも思い改めることができたのだ。

それよりも、注目されてはいたようだが、何だか視線の感じが痛いというよりも熱いというのが正しい気がした。


(変な感じだったな……?)


自然と眉を顰めていたら、


「お兄ちゃん?何ぼ~っとしてるの?ライブ7時からでしょ?早く行かないと始まっちゃうよぉ」


いつの間にか身を離していた真空の急かす声に、はっと我にかえり携帯で時間を確認すると、もう20分ほどしか時間が無い。


「そうだな、急ごう」


出て突き当たりにあるエレベーターで下りてバイクのところへ急ぐ。

SSをとばせばぎりぎり間に合う。

いつもならこの時間でも陸燈ひとりなら余裕だが、今回は真空を後ろに乗せるためそうスピードは出せまい。

そう考えて5分早く出ようと思っていたのだが。


「真空。少しスピード出すからしっかり摑まってろよ?」


彼女にヘルメットを被らせて後ろに跨がせ、ソフトカバーに入ったギターは彼女に背負わせて、外れないようにしっかり固定する。

そして陸燈も乗ってからそう声をかけた。

返事は腰に強くまわされた小さな腕が答えていた。

すっかり日が沈み夜を迎えていた街を、SSのエンジン音を響かせながら駆け抜けていく。


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