SOUND・BOND
その存在感とやらで稼げているのならそれはそれで良しとする。ギターさえ弾けてそれで金も稼げれば文句は言わない。
それに音楽という世界にはこんなものよりももっと派手な外見に仕立てた奴もたくさんいる。どんな奴かなんて容易に想像はつくだろう。嫌でも目に入るため自分の存在感など薄い方だと陸燈は思う。ギターでの出演を始めた理由もこの髪のことで嫌味な台詞を聞かずにすむと思ったからとも言える。
もし、存在感とやらを内面のことで言っているのなら尚更薄いと思えた。この髪のおかげで人との付き合いも避けるようになっていたからだ。
性格もそれなりに曲がったなと、陸燈は自嘲な笑みを溢す。
色素の薄い瞳は茶色く、ほんの僅か赤みをさしているようにも見える。それはただ視界で揺れる赤い髪が瞳に映り込んでいるだけなのかもしれない。そう陸燈は思いたいが現実は大きく裏切る。
ルビーとまでもいかなくともガーネットに属するアルマンディン・ガーネットという宝石の色のように写り、それは整った容姿によく馴染んでいた。それが陸燈の人気の高い理由のひとつだった。
しかし、陸燈自信はさほど気になるところではなかった。多少赤が混じっていてもそれはじっと見なければ分からず目立ったものではない。その場の光の加減等の条件でたまたまそう強く見える時があるだけで、実際はただの気の抜けた瞳としか思っていない。