SOUND・BOND
会場の熱気といい、まだこんなデマまで流れているのかと、段々全てが滑稽に思えて仕方なくなってくる。
これでは思いっきり動物園の珍獣か、神様とまではいかなくとも、3回願えば叶うという流れ星という名の隕石扱いだ。3回は御免被るが。
と、そこまで考えなくとも感じてしまうほどに呆れかえっていた。
「よし、出るか!」
陸燈はリーダーの声に渋りながらも立ち上がり、最後尾を行く。
ファンはどうあれ、今日は真空が最前列で見ているのだ。彼女をがっかりさせるような演奏はできない。
陸燈の中で気合いというものが生まれる。
それでも演奏自体はそういつもと変わることはない。
ギターを握れば真剣に弾くし、ベストを尽くす。決して厳かにはしたくない。これは幼い頃からの決め事のようなもので、しっかり今でも根付いている。
大好きなギターだからこそなのだ。
ステージの裾へ着き、メンバーが順に出て行く。
狭いスペースなのだが、ライトアップされたドラムセットなんかは存在感十分に場を盛り上げているよう。
あとは陸燈がステージに立てば演奏が始まる。