SOUND・BOND

そして何組かのバンドが演奏を終えて控え室から出て行く。

その間陸燈は背負っていたソフトケースの中から愛用のギターを取り出し、チューニングをする。

陸燈が出演するバンドは必ず最後に回される。何故なら、客を全て持っていかれるからだと、前に演奏したバンドから聞いた事があった。陸燈にしてみれば待ち時間が長くて退屈で嫌なのだが、見返りを受けている以上我慢するしかない。

出演する前のバンドが終えて戻ってくると同時に陸燈が出るバンドの紹介アナウンスが流れた。

すると、今までに無い程の歓声が客席から沸き起こった。それは紹介の中に陸燈の名前が上がったからである。


「初っ端陸燈コールだな」


メンバーの一人が茶化す。

それに陸燈はふんと鼻を鳴らしただけで相手にはしない。


「よし!やっと出番だ。トチるなよ」


リーダーの掛け声にメンバーも気合いを入れた。


< 7 / 133 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop