SOUND・BOND
「タキさんとアキさんって仲良しなんですね」
考えの結果、そうたどり着いたのだが、いきなりだっただろうか?2人とも顔を見合わせて言葉に困っている様子。
「見ていると心が通じ合っているように思えて……」
と、付け加えてみた、が……
「通じ合ってる?AKIと!?それは無いな」
(あれ?)
「俺は全て通い合っていると思ってるよぉ。タキとは小学生の頃からの親友だからね~」
「いや。それはたまたま学校が上がってもクラスが一緒だっただけで、気持ちまで全て繋がっているとは思っていない。事実、AKIの考えていることは理解できないことが多すぎるし」
「それはちょっと酷くないかい?俺はいつでも君のことを想っているというのに」
薫季は〝はいはい〟と慣れた調子で受け流す。
この会話は一体なんなのか……?
薫季は真面目に話しているように見えるが、どこか、完璧に遊んでいる秋司と戯れているようにも見える。
真空は少し驚きながらも、きっとこれが彼らのペースなのかもしれない、と何となく苦笑してしまった。少しやきもきした気持ちが和らいだ気がした。
その顔を秋司に見られていたことには気付かずに。
「さて、そろそろ終曲ってところかな」
一瞬真空に向かった秋司の視線はすぐにステージへと流れる。
「あ。ちゃんと聴いていなくて良かったんですか?」
途中から話し込んでいたからまた迷惑を掛けてしまったのではなかと心配すると。
「大丈夫、最初しっかり聴いたしな。実力は大体分かったから。――それより真空ちゃんは良かったのか?」
「そうだよ!しっかり兄ちゃんの演奏聴かなくて……?」
また薫季が心配そうに眉を顰める。
「あ、はい。真空は毎日家で聴いてますから」
取り繕ったような笑顔を浮べる。