SOUND・BOND

大方その女性客は、似ても似付かない外見に、陸燈の兄妹であると口にした真空に嫉妬をしたのだろう。

と、陸燈には容易に想像がついた。
 
いつもそう見られているから。それにあの騒ぎなら尚更。
 
もちろん呆れて言葉も出ないが、真空を傷つけたことは許し難いことこの上ない。
 
とはいえ、その相手にどうこうしようとは思わない。ここへ連れて来たのは自分だ。


(泣かせた責任は俺にもある)
 

陸燈は前々から考えていた提案を持ちかけることにした。


「真空。これから野外ライブするぞ」

「え……?」
 

目を擦りながら真空は陸燈の肩から顔を起こした。


「ライブ?でも今やったばっかり……?」

「それはそれだ。野外は真空のためにやるんだよ」
 

突然のことに驚き、真空の涙はぴたりと止まったようだ。


「足は大丈夫か?」

「うん。さっきより平気」

「バイクのところまで我慢な」
 

真空の右手を引きながら、ゆっくり歩幅を合わせて歩く。
 
多少痛むのだろう。
 
その片足に体重をかけないように慎重な足取りであるのが窺える。


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