地球、最後だってさ。
「ありがとう、アリカちゃん」
肌というか皮に隠れて細く見える猫おじさんの目が私を見ていた。
「何してたの?」
おじさんが座るちょうど真下を見ると小さな土の山が出来ていた。
「ゴーヤのお墓だよ」
おじさんは静かな口調で言った。
「え…それって…」
「死んでしまったさ。わしを置いて。」
突然の死。
待てよ、なぜだよ、だってもぅ世界は―。
「夢が叶わなかった。」
おじさんはしみじみと言う。
「最期はゴーヤと一緒に居たかった・・・。」
その言葉にきゅっと胸が苦しめられた。
おじさんの夢はもう叶うことはない。
「なんで…なんで…ゴーヤは…」
「カラスにでもやられたのだろう。無残だった。」
しょぼくれた目から涙が落ちた。
その涙はゴーヤの墓に零れる。
このとき、おじさんが自分のペットにしたくない理由がはっきりした。
ゴーヤがもし自分のペットだったらもっと悲しい思いをしただろう。
こういうとき…私はどんな言葉を言えばいいのだろう。
「ゴーヤは幸せだったよ。」
ふと出た言葉。
保証は持てない。
でも何か…何か言葉に残さないと…。
「野良猫だったのにこんなに愛さされていたのだから。」
それ以上の言葉は思いつかなかった。
無責任に感じたからだ。
本当にゴーヤはそう思っているのか、
ガキが生意気なこと言っていると思われてないか、不安になった。