地球、最後だってさ。
第四章【貴方は私の】



「だーからアイカ大好きなんだよー。分かれよー。」

「理解に苦しむ。」


授業中の右隣の声をどうにかしてブロックしたい。


防音壁でも建てるか、そんな費用などないが。


ぎゅっ


「アイカ好き~」


右隣から抱きしめてくるルイ。


これは防音壁どころではない。


「離せ!」

「やだ!!」


昔もこんなことが度々あった。


そんなときの必勝法はこれだ。


「私の願望だ。離せ」


これを言えばこいつは離す。


「いやだ」


―が、今は違うようだ。


「私の願望だ。離せと言っているだろう。」

「いやだ、離したらまた俺を置いていくだろ」


置いていったのはお前らだろう。


「離れるのはもういやだ」


甘い声で震えた子犬のように耳元で囁くのは狙っているようにしか感じられない。


私は知っている。


この世界の相手を求める言葉は気休めでしかないって。


あんたの言葉も。


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