地球、最後だってさ。


地球崩壊の日が迫り、

自暴自棄になった人間は治安を悪化させる。


法律はもう学校の規則のように薄っぺらものでしかない。


仕事放棄、怠慢の警察の衰弱によって犯罪者は平気で顔を出すようになった。


それは都会だけの話。


“ド”が付くようなこの田舎には関係ないものだと思っていて

鷹を括っていたとき、私は立てこもり事件に巻き込まれた。


「よく人生最期でそんなことできるよね」

「お前はよく命を狙われているのに平気な面ができるよな」


※容疑者と被害者の会話です。


「だって人生最期じゃない」

「やり残したものはないのかよ」

「ない」


私は彼の目を見て即答した。


「いいよなぁ…そんな腹を括っていて…」


彼は痩せこけた汚らしい顔でため息をつく。


「べつに、私には何もないから」

「そんなこと言ったら親御さんが悲しむぞ」


あんたの何が分かるの。


「悲しまないよ、そんなの。

あんたの親御さんのほうがよっぽど悲しみだろうけど。」


私が皮肉を言うと彼は軽く笑った。


「そうだな。俺は親不幸者だ。」

「いまさら気づいたの?

こんな事してないで親孝行でもすればよかったのに。」

「もう遅いさ。このまま俺は刑務所行きだ。」


理性があるなら、こいつはよっぽど馬鹿なんだ。


「だったらその前に楽しませてよ。」


あなたがこれで輝けるのなら。


「お前、変な奴だな」

「私は普通じゃないらしい」

「っぽいよな」


彼は何が可笑しいのか笑った。


< 32 / 60 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop