地球、最後だってさ。
地球崩壊の日が迫り、
自暴自棄になった人間は治安を悪化させる。
法律はもう学校の規則のように薄っぺらものでしかない。
仕事放棄、怠慢の警察の衰弱によって犯罪者は平気で顔を出すようになった。
それは都会だけの話。
“ド”が付くようなこの田舎には関係ないものだと思っていて
鷹を括っていたとき、私は立てこもり事件に巻き込まれた。
「よく人生最期でそんなことできるよね」
「お前はよく命を狙われているのに平気な面ができるよな」
※容疑者と被害者の会話です。
「だって人生最期じゃない」
「やり残したものはないのかよ」
「ない」
私は彼の目を見て即答した。
「いいよなぁ…そんな腹を括っていて…」
彼は痩せこけた汚らしい顔でため息をつく。
「べつに、私には何もないから」
「そんなこと言ったら親御さんが悲しむぞ」
あんたの何が分かるの。
「悲しまないよ、そんなの。
あんたの親御さんのほうがよっぽど悲しみだろうけど。」
私が皮肉を言うと彼は軽く笑った。
「そうだな。俺は親不幸者だ。」
「いまさら気づいたの?
こんな事してないで親孝行でもすればよかったのに。」
「もう遅いさ。このまま俺は刑務所行きだ。」
理性があるなら、こいつはよっぽど馬鹿なんだ。
「だったらその前に楽しませてよ。」
あなたがこれで輝けるのなら。
「お前、変な奴だな」
「私は普通じゃないらしい」
「っぽいよな」
彼は何が可笑しいのか笑った。