地球、最後だってさ。
「あいつはべつに何もない」
「うそ言うな。あんなに必死だぞ」
「勝手に必死になっているだけでしょ」
私は故意にため息を付いた。
それを見て、犯人さんもため息をつく。
「お前は贅沢者だな」
自分が不幸だと言いたいのか。
確かに今まで生きてきた中で不幸の数と幸福の数は
平等にあったかは人それぞれで分からない。
しかし最期は皆、死ぬ。
今、不幸でもあっても幸福であっても。
神様は同じ捌きを与える。
だったら私の前で不幸面しないでほしい。
「おじさんはなんでこんなことしているの?
都会のほうにいた人でしょ?」
「なんで分かった?」
「こんな小さい町だもの、町民の顔は覚えているほう。」
「そうか…。」
彼は黙り込み、少したってから重い口を開いた。
太陽から逆光を浴びている。
「リストラされ、妻に逃げられ、帰るところすらなくなった。
だから、こういう事件を起こせばすっきりするんじゃないかと思い実行に移した。」
「だったら都会ですればいいじゃない。
こんな田舎で事件を起こしたって誰も見向きもしてくれないよ。」
「・・・勇気がなかったのかもな」
彼はそう呟き、小さく微笑んだ。
勇気がない?
こんな事件を引き起こす悪い勇気があるじゃない、
何をいまさら勇気がないと言っているのだ。