地球、最後だってさ。
私たちの中では年賀状は都会に住む人たちへ“元気にしているか”という
手紙でしかないので田舎者同士なんて渡す人はほとんどいない。
祖母なんて昔仲良かった友達が都会に行ってから音信不通にしているらしい。
あっちにいる祖母の友達はとっくのとうに祖母は死んだと思っているだろうなぁ。
「年賀状って・・・」
私はそのあとを続ける言葉が見つからなかった。
彼女にとって年賀状がそんなに大事なものなのか。
理解ができない。
「遠くの友達には出せないのは仕方ないけど俺たちには出せるぞ?」
意外な言葉を言ったのはルイだった。
「それでも年賀状をあげたことは変わりない」
彼はほほ笑む。
彼の笑みは人を救うと思う。
実際、私も救われているから。
彼は―私の現実の世界を切り開いてくれたから。
なんてこと、口が裂けても言わないけどね。
彼はカバンから昨日の数学の自習プリントとペンを取り出し
何かを書き始めたと思ったらそれを私に渡した。
「え?」
「アイカも書いて、住所」
私は紙とペンを受け取り私が住んでいる祖母の家の住所を書いた。
書き終わり顔をあげるとルイが絵理に渡すように合図した。
「はい」
「え?」
「私たちの住所」
彼女はそれを受け取りそれをじっと見ていた。
そして慌てたように口を開いた。
「私も二人に住所書くね!」
「俺もアイカに書く~」
二人はカバンをあさり書き始める。
私はその姿をぼけっと見ていた。