地球、最後だってさ。
すると、そこへ一台の軽トラックが止まった。
「よぉ、そこで何してるんだぁ?」
窓から顔を出したのはつなぎ服姿の住野家の旦那、拓也さんだ。
「拓也さんこそ何してるの?」
「仕事帰りさ」
拓也さんはリサイクルゴミ回収の仕事をしている。
ルイが拓也さんと親しいのは少し驚いた。
「ねぇ、拓也さん!私のファイル知らない?」
「ファイル?」
「絵理が集めている友達プロフィールのファイル。
落としちゃったんだって。」
私の説明に何かを思い出したのか助手席から何かを取り、私たちに見せた。
「もしかしてこれか?」
差し出したものは正方形の水色をした星がいっぱい散りばめられているデザインのファイル。
「これだぁ~!」
絵理は歓喜の声をあげてそれを受け取った。
その笑顔で私たちも笑顔になる。
「道で拾って“これ、悪い奴に拾われたら個人情報を流出させるかもしれない”
って思って俺が保管してたんだ。そのあとのこと全く考えてなかったけどね。」
えへへっと拓也さんは気さくな笑顔で笑う。
「拓也さんありがとうございます。」
私は拓也さんに礼を言うと隣の二人もそれにならって一礼した。
拓也さんは可笑しそうに笑いだす。
「あはは、そうだ。家まで送ってあげる。」
「えっ…でも、助手席だけじゃ3人は入りませんよ?」
拓也さんはにやりと笑い、親指で後ろを指した。
「荷台だよ」
私たちは荷台に目を向けた。
空っぽの荷台は今の私たちによると未知なる乗り物のように見える。
先にその興奮を抑えきれなかったのはルイだ。
「うっしゃぁ!乗り込むぞ!!」
私と絵里はルイに続いて荷台に乗りこんだ。