彼白~カレシ~
やっと行進の練習が始まった。



さっきの先輩はまだ私の後ろ。



どうやら、団の後ろにもリーダーが並ぶらしい。



‘‘ドクドクドクドクッッ・・・’’



心臓の鼓動がうるさい。



(いい加減静まれよ・・・)



よく分からないこの感情に、腹が立ってきた。



「イッチ、ニッ、イッチ、ニッ・・・」



リーダーのかけ声と共に前進する。



また、私の後ろから声が。



「リーダー以外も声だしてーーー!」



声が聞こえた瞬間、また鼓動が大きくなる。



同時にさっきの先輩の顔がうかんでくる。



(どうにかならないの・・・!?この感情・・。)



先輩が声をかけたものの、まだ、リーダーしか声を出してない。



またまた後ろから声が。



「みんなで声ださんと他の団に負けるよ!!みんな声だして!!」



確かに、後ろから聞こえる白団や青団や黄団の声の方が大きい。



赤団は、去年にひき続き、今年も優勝、応援賞を狙ってる。



先輩の言葉に、心動かされたのか、さっきよりも何倍も大きくなった行進の声。



(すっげーー!みんなをまとめてる!!かっこいい!!!)



私も一緒に、



「イッチ、ニッ、イッチ、ニッ・・・!」











< 9 / 14 >

この作品をシェア

pagetop