A z u r e

失われた平凡


朝、目がさめると必ず襲ってくる。
不安と、恐怖。

冬の寒い朝だろうが、夏の暑い朝だろうが
必ず襲ってくる。

医者に行こうか、と考えるものの面倒くさく
やる気が起きない。

精神的に不安定で、心を病んでる。
と、言われたのは私、



日暮 琥都 -Higurasi Koto-



布団を思い切り引き剥がして、銀色の刃を取り出す。
スッと左手首にあててゆっくり滑らせる。


紅い血がプツプツと浮き出てきて小さな塊を作る。

もう、ずいぶん前からリストカットを繰り返している。
恐怖と、不安を拭うように。



pipipipipiipip....


私が起きてから10分後ぐらいに目覚ましはなった。
大抵私の方がはやいためまったくと言っていい程
この目覚まし時計は役に立っていない。


(鬱陶しい…)

そう思いながら切った方の手を伸ばそうとして手を止める。
ゆっくりと反対の方を手を伸ばして、耳障りな音を止める。

pipi...音が泊まれば部屋には再び静寂が訪れる。
はぁ、とため息をついてみても、聞こえるのは吐息の音のみ。


「琥都ーッ起きろー、朝飯できてるぞーッ」


階下から呼ぶ声が聞こえ「はーい。」とだけ答え制服を身に包む。

深い紺色のセーラーを慣れた手付で、スカートを4回おる。
3年生に何か言われようが関係ない。

そうたかを括っている。
だって、3年生なんて群れないと何でもできないじゃない??
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