jump!
私が興味を示したせいなのか、柚はまた笑顔になった。
「興味持ってくれた?」
「いや、ナスくんって誰なのか気になっただけ」
「まあ、いいや。ナスくんっていうのはね…」
柚の話を簡単にまとめると、ナスくんという人物は隣のクラスの転校生で、アイドルになったら人気出るんじゃないかっていうくらい顔が整っているらしい。
それから、ナスくんは何かの全国大会で優勝したことがあるとか。
「すごいんだね」
「あたしもそれしか、わからないんだけどね」
話を聞くだけ、特別な人なんだなってことがよく分かる。
だからといって、関わる気は全くといっていいほどない。
「やっぱりさ、気になるじゃん。見に行こうよ!」
「ナスくん?」
「そうに決まってるじゃん」
柚は期待でいっぱいの顔をして、私の手を握ってきた。
「やだ、興味ない」
「さっきまで興味あるっていったくせに」
「ただ気になっただけだよ」
「興味あると気になるは一緒なの!ほら、行くよ」
柚はお弁当を食べている最中だっていうのも気にしないで、私の手を引っ張って隣のクラスへと向かう。
「ちょっと、柚痛い!」
「ナスくんー!」
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