愛する人達へ

心は泣いている

　ネットでチカチカする動画を見ながら

私は、退屈な日々を過ごしていた。


そんな時、

いきなりメールの着信音が流れる。


私は、ビクッとなり

メールを確認する。


相手は知らない人からだった。


メールには


「今夜会えないかな？ 若林」


と、簡単な言葉が並べてあった。

イタズラなのか、

本気で間違えているのか？

メールの内容だけでは解らない。


とりあえず、仕事も一段落した私は、


ネットを切り、

興味本意で、メールに返事を送った。


「誰かと間違えていませんか？」


私のメールは

ごく普通の返事を送った。


相手が間違えてメールしていたなら

すいませんの一言が欲しい。


大人の常識は

私が、27歳という

若いような、婚期を逃したような

そんな気持ちから

沸き上がっていた。

メールの内容から、男性だろうか？

絵文字も何もない文に

私は、少し驚く。


メールとにらめっこしている間に


友達の美香が来た。
美香はいつもいきなり来ては

大泣きして、缶ビールを飲み干す。


また、お姑さんと喧嘩でもしたのだろう…

暗い顔の美香は


私に、

「キツいお酒はないの？」


と、図々しく呟く。

「そんなの無いわよ
欲しがったら自分で買ってきてね」


私は、いつもの事だと解っていたので

少し冷たいフリをする。


すねる美香を横目に
ケータイのメールを
チラ観する。


やっぱりイタズラだったのか…


出逢い系のサイトに興味がない私。


何が嘘で、何が信じられる奇跡なんだろう…


恋をしても苦い思い出しかない私には、
メールを気にしても 始まらない


グスンと泣く美香に

「しょうがないから 愚痴でも聞きますか…」


そう言って、私は、
隠してあった焼酎を
テーブルにセットした。


「やっぱりかくし球あるじゃん！」


泣いてた美香は明らかに嘘泣きだと

バレバレだ。

解っていたが、仕事も一段落したし、

明日は休みなので

美香に付き合う事にした。


そして、朝まで焼酎を飲み続けた。

泣き笑いの激しい美香は

嬉しそうに飲み干していた。